2006 Best Act

Best Play

1 チェルフィッチュ/三月の5日間
2 ARICA / KIOSK
3 庭劇団ペニノ/ダークマスター
4 むっちりみえっぱり/明日からは粉がある
5 劇団、本谷有希子(アウェー) / 密室彼女
6 遊園地再生事業団プロデュース / モーターサイクル・ドン・キホーテ
7 青年団 / ソウル市民 昭和望郷編
8 東京デスロック / 再生
9 ゴキブリコンビナート / そよ風のささやき
10 五反田団 / さようなら僕の小さな名声
11 やわらかい服を着て(作・演出:永井愛)
12 蜻蛉玉 / ヘ音記号の果物
13 劇団、本谷有希子 / 遭難、
14 野鳩/僕のハートを傷つけないで!
15 あひるなんちゃら / 地獄にて
16 噂の男(作:福島三郎 潤色・演出:ケラリーノサンドロヴィッチ)
17 ワワフラミンゴ / ファーブル旅行記
18 シベリア少女鉄道 / 残酷な神が支配する
19 シス・カンパニー(作・演出:青木豪) / 獏のゆりかご
20 少年王者舘 / I KILL−イキル−
21 劇団チャリT企画 / アベベのベ
22 劇団八時半/完璧な冬の日
23 ハイバイ / 無外流 津川吾郎
24 労働者M(作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
25 五反田団/ふたりいる景色
26 野鳩 / アイム・ノット・イン・ラブ
27 指輪ホテル/CANDIES〜Girlishhardcore
28 阿佐ヶ谷スパイダース / イヌの日
29 少女単体/ロミオとジュリエット
30 モダンスイマーズ / ゆきてかえらず〜寄るべない稲上荘の日々〜
31 大人計画 / まとまったお金の唄
32 ポツドール/夢の城
33 燐光群 / 民衆の敵
34 エンジョイ(作・演出:岡田利規
35 三条会 / 砂の女
36 モダンスイマーズ / 赤木五兄弟
37 乞局 / 乞局
38 中野成樹+フランケンズ / 暖かい氷河期
39 アイサツ / サマンサ
40 ラッパ屋/あしたのニュース
41 THE SHAMPOO HAT/恋の片道切符
42 ヨーロッパ企画/Windows5000
43 ペンギンプルペイルパイルズ / 道子の調査
44 ENBU×五反田団 / ノーバディー
45 ハイバイ/ヒッキー・カンクーンエンゲキリョウホウ
46 椿組 / GS近松商店
47 ウーマンリブ / ウーマンリブ先生
48 黒テント / メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス
49 ウィー・トーマス(作:M・マクドナー、演出:長塚圭史
50 桟敷童子/泥花
51 スロウライダー / Maggie
52 唐組 / 透明人間
53 文学座+青年団(作・演出:松井周) / 地下室
54 グリング / 虹
55 ブラジル / 疚しい理由
56 宇宙堂 / 夢ノかたち(第一部)私の船
57 東京デスロック(CARAVAN) / 3人いる!
58 鉄割アルバトロスケット / オフビートニクス日本
59 ポツドール / 恋の渦
60 危婦人 / 大部屋女優 浜子 〜至福のランデブー〜
61 少女単体 / 恋人が障害者
62 渡辺源四郎商店/夜の行進
63 ブラジル / 恋人たち
64 蜻蛉玉 / マトリョーシカの鞦韆
65 マシュマロウェーブ / HOME
66 Summerholic 06 -恐怖劇場-
67 シラノ・ド・ベルジュラック(構成・演出:鈴木忠志
68 マナマナ / キケンなニオイはしてたよね
69 燐光群 / チェックポイント黒点
70 むっちりみえっぱり / 表へどうぞ
71 アーノルドシュワルツェネッガー/ゲルニカ
72 毛皮族 / コーヒー&シガレッツ的な軽演劇(演目C『ゴドーを待ちわびた私』)
73 ミナモザ / 夜の花嫁
74 ジェットラグ / 困惑
75 ゴキブリコンビナート / アンドロゲンレインボー
76 東演PIC(作:堤泰之×演出:松本祐子) / 見果てぬ夢
77 月蝕歌劇団/人力飛行機ソロモン劇場版
78 青年団若手自主企画(多田企画) / 別
79 ブラジル / ダイアナ
80 THE SHAMPOO HAT / 津田沼
81 オリガト・プラスティコ / 漂う電球
82 唐組 / 紙芝居の絵の町で
83 ナイロン100℃ / カラフルメリイでオハヨ〜いつもの軽い致命傷の朝〜
84 燐光群/スタッフ・ハプンズ
85 あひるなんちゃら/ハワイで農園
86 シベリア少女鉄道/ここでキスして。
87 米米CLUB演劇部 / 私がオバさんになってる!?
88 零式 / 返事
89 南河内万歳一座 / お馬鹿屋敷
90 ポツドール / 女のみち
91 アジアの女(作・演出:長塚圭史
92 劇団木花 / ロミオとジュリエット
93 鉄割アルバトロスケット/金割アルバトロスケト
94 劇団青い鳥+北村想/もろびとこぞりてver.2,3
95 呂均与目治プロデュース / よっぽどなクサカさん
96 五反田団 / びんぼう君2006
97 動物電気 / 三女の食欲
98 モッカモッカ/薬丸君と薬師丸君
99 双数姉妹 / トリアージ
100 動物電気/豆ざむらい
101 五反田団/逃げるメン
102 アーノルドシュワルツェネッガー / スイム
103 ボーダビッチ / 演劇なんてやるんじゃなかった
104 庭劇団ペニノ / アンダーグラウンド
105 スロウライダー / トカゲを釣る
106 デス電所 / 夕景殺伐メロウ
107 野鳩 / なんとなくクレアラシル(愛蔵版)
108 リボンの騎士 ザ・ミュージカル
109 野鳩×里中あや / ぜったいあの娘はボク専用
110 渡辺源四郎商店 / 背中から四十分
111 水性音楽 / 透明の人
112 メガロザ / 手紙 ギターとスキヤキとワタシタチ
113 二兎社 / 書く女
114 寿団 / おとこたちのそこそこのこととここのこと
115 新宿梁山泊/風のほこり
116 パパタラフマラ / 僕の青空
117 横浜ボートシアター/賢治讃え(Bプロ)
118 表現・さわやか / そこそこ黒の男
119 風花水月 / ユレルカゴ
120 シティボーイズミックスPRESENTS マンドラゴラの降る沼
121 桟敷童子 / 海猫街
122 ピチチ5 / おさびしもの
123 ロリータ男爵 / エプロンの証
124 tsumazuki no ishi / 無防備なスキン
125 ク・ナウカ / トリスタンとイゾルデ
126 トリのマーク(通称) / -ギロンと探偵の冒険-ハリスさん新聞社
127 天然スパイラル / デストロイヤー花〜放電金魚とそこらの人々〜
128 マンションマンション / キング・オブ・心中
129 現代能楽集III「鵺/NUE」(作・演出:宮沢章夫
130 Hula-Hooper / 嘘かもしれないけど、オリジナル
131 ロリータ男爵×愛川ゆず季 / なんてったってアニマル!
132 黒テント/『金玉娘』新装版
133 うずめ劇場 / 我が闘争
134 ヨーロッパ企画 / ブルーバーズ・ブリーダーズ
135 七里ガ浜オールスターズ / 双魚
136 地点|京都/Jericho(エリコ)
137 風琴工房 / 砂漠の音階
138 「カルカル」プロデュース / うす皮一枚
139 劇団白井 / 香りEXPRESS
140 乞局 / 廻罠(わたみ)
141 超歌劇団 / ドガガガーンゴワーシュンボコーンプシューバゴーン(略して ドゴボプバ)
142 劇団宝船/あいつは泥棒
143 毛皮族 / 脳みそぐちゃぐちゃ人間
144 ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?(作:エドワード・オルビー 演出:ケラ)
145 メガロザ / 七つの罪の海
146 UglyDuckling/改訂版さっちゃん
147 ひょっとこ乱舞 / でも時々動いてるわ
148 ピチチ5×小町桃子 / 魚じゃないとやってられないよ
149 阿佐ヶ谷スパイダース/桜飛沫
150 三条会レミング〜世界の涯てへ連れてって
151 経済とH / 北限の猿
152 クロムモリブデン / 猿の惑星は地球
153 THE・ガジラ/ひかりごけ
154 水性音楽 / 空に消える時
155 トリコ・Aプロデュース/他人(初期化する場合)
156 地点|京都/沈黙と光
157 マイノリマジョリテトラベル / 東京境界線紀行「ななつの大罪」
158 Ord-d.d/冬の花火、春の枯葉
159 チェルフィッチュ / 体と関係のない時間
160 風琴工房 / 食卓夜想
161 劇団鹿殺し / SALOMEEEEEEE!!!
162 ミナモザ / テーブルクロス
163 劇団上田 / 10ピース
164 smartball / My Legendary Girlfriend
165 アイサツ / ジャングル・ポケット
166 離風霊船 / クロスゼロ
167 Oi-SCALE / キキチガイ
168 (小指侍改め)こゆび侍 / 真夏の夜の蛇腹姫
169 宇宙堂 / 夢ノかたち(第ニ部)緑の指
170 イキウメ / PLAYeR[プレイヤー]
171 毛皮族 / コーヒー&シガレッツ的な軽演劇(演目A『元祖、女は太陽だったような..』)
172 東京タンバリン/Damage
173 大人の麦茶 / ネムレナイト
174 離風霊船/ゴジラ
175 つかこうへいゴールデンシアター / 蒲田行進曲〜城崎非情編
176 劇団上田 / 上田展3 新世界
177 Anjuta/DDDR(DANCE DANCE and DANCE REVOLUTION)
178 マテリアル・ママ(作・演出:岩松了
179 フランクサバゲリラ / 8月の冗談クラブ
180 青年団+文学座 / 職さがし
181 lovepunk / GIRLS HATE PURE
182 柿喰う客 / 他人の不幸「弔問客」編
183 七里ガ浜オールスターズ/二人の高利貸しの21世紀
184 リボルブ方式 / ブリキ「フラミンゴ
185 二騎の会(作:宮森さつき 演出:多田淳之介) / 直線
186 花組芝居 / ザ・隅田川

ダンスや歌舞伎は除いたのでこの数でランキング。とにかく難しかった。3本選べとか、10本にしぼれとかムリ。本当にいい作品が多く、小劇場は、その歴史上でも最高の時期にあるのではと思う。対する評論家が全然アテにならず、新聞各紙の回顧でも相変わらず蜷川とか。安牌ばかり推してるようでは評論家なんて不要。もっと、新しい才能を発掘し、紹介して欲しい。だいたい、この人たちは、年間観劇数はどのくらいなのか、それが知りたいし、選ぶのも3本じゃなくて最低20位まではあげてもらいたい。重要作をみてのランキングなのか、見逃してのランキングなのか。それがわからない。

今回あげた作品、100位までは本当によかったものばかり。それ以下でも、見に行って損したというものはほとんどなく、毛皮族の試みや多田淳之介の失敗も、確認できて嬉しかった。シベ少もポツドールもTHESHAMPOOHATも最下位クラスにしたこともあるけれど、それも見ていてよかったと思える。それが小劇場なのだ。もちろん、失敗は続けられると困るが、挑戦こそ重要。ポツドールの年末の公演は、そういう意味では守りを感じてしまった。06年で調子を上げたのは前田司郎の五反田団、調子が下がり気味で心配なのが青木豪のグリング。旗揚げしたナベゲンの畑澤も05年の勢いはなかった。もちろん、迷走続ける毛皮族がどうなるのかも気になるが、ゴドー待ちはよかった。シベ少の公演回数が激減している点も懸念。本谷有希子は上手さがでてきており、とくにアウェー公演でもムリな乙一プロットを巧みに味付けし、上質に仕上げた手腕に感嘆した。小説もうまくなる一方で、岸田戯曲賞を早くあげて、小劇場に留まらせて欲しい。

ランキングでは、とりあえず時代の潮流をつくったチェルフィッチュにトップについてもらった。一番好きなのは「労苦の終わり」なのだが、この岸田戯曲賞受賞作もじゅうぶんに面白い。むっちりみえっぱりの復活作も本当に楽しかった。女のつくる演劇、その理想的な姿があった。奇抜な発想と超日常のダベリが最高。青年団は再演ばかりで不満だが、この三部作の新作はやはりよかった。金字塔である。いい役者をいっぱい抱えており、早く新作も観たい。あと、リンクなど青年団関連の動きも楽しみ。06年も若手自主公演でとんでもない実験作が目白押しだったが、主犯は多田淳之介だろう。東京デスロックもようやく本領発揮。「再生」は素晴らしかった。リプレイリプレイリプレイ。

小劇場の面白いところは、第一世代から未来の主役が同時代に蠢いている点。唐十郎状況劇場テーストたっぷりな「透明人間」は吉祥寺初進出で楽しかったし、鈴木忠志の久々の東京公演も嬉しかった。黒テントもiwatoはじめ各所で豪華演出陣が頑張っている。第二世代のつかこうへいは不振だったが、太田省吾も竹内銃一郎も現役。もちろん、かつての勢いはないだろうが、トークでの黄金時代の話は至福の時。ぜひ新国立などにはPPTを
積極的に実施して欲しいところ。第三世代といえば、北村想が、なかなか名古屋以外で公演してくれないのは残念。旧作の宝箱を早く開いて欲しい。

インパクトといえば初見が強く、新顔が有利になりがち。ワワフラミンゴなどは、これから数本みないとわからないし、アイサツも1本目と2本目の落差があった。蜻蛉玉は実力ありと見たし、秋の公演で振付けたモモンガコンプレックスは楽しみな存在。そして、気になる存在がARICA。アート志向の強い作品も大歓迎だ。庭劇団ペニノ野鳩、モダンスイマーズ、桟敷童子、渡辺源四郎商店などはすでに小劇場を新たに代表する存在として貫禄もついてきた。いずれも今後が楽しみな存在。

このように勢いのあるものもあれば、くたびれ気味のところもある。劇団ごとの格付けみたいなものもしてみたいのだけど、なかなか思うようにいかない。旬の劇団と、ピークを過ぎた劇団といろいろあるので、半年ごとに更新するといいのだけど・・・。格付けよりは、次の公演が観たい劇団(ユニット)ランキングあたりで落ち着くだろうか。

ちなみに現在のフロントランナーを考えると、遊園地、二兎社、燐光群青年団大人計画、ナイロンなどの先輩現役バリバリ集団(遊園地や大人計画は90年代に比べ公演数なども激減しているが・・・)に加え、いまや中心ゾーンにはいってきた阿佐ヶ谷スパイダースチェルフィッチュシベリア少女鉄道ポツドール毛皮族五反田団劇団、本谷有希子ヨーロッパ企画THE SHAMPOO HAT、グリングあたりが人気と実力がる旬の集団とされるべきだろうか。個人的には、もう少しマイナーなものも入れたいが、俯瞰すれば、こんな感じか。